電気料金の高騰にどう対応するか
先月、大手電力会社各社が10月の分の電気料金を発表しましたが、ついに全社で燃料価格の高騰分を価格に転嫁できる「燃料費調整額」が
設定上の上限額に到達し、比較できる過去5年間で最も高い水準となりました。
そもそも「燃料費調整額」とは、原油などの火力燃料の価格変動を電気料金に反映させるための金額です。
中部電力では45900円を基準に燃料費の増減を反映させています。
このような場合、本来であれば上限を超える部分は電力会社による負担となりますが、
燃料費(特にLNG)が高止まりして見通しも悪い状況のため、
電力大手各社は上限の撤廃を発表し始めています。
上限が撤廃されると、燃料費の高騰分が燃料費調整額として現行の料金に上乗せされます。
2021年頃は1kWh27円程で家庭の電気代は算出できましたが、現在ではおよそ37円
今後は50円もありえない金額ではありません。
これを実際の料金に照らし合わせると以下のようになります。
例:3~4人家族 50A 月400kWhの場合
単価27円(2021):10800円
単価37円(2022):14800円
単価50円(2023?):20000円
現在の情勢からこういった価格の高騰もあり得ない話ではなくなってきています。
ですが、現在アメリカの景気後退が囁かれ、世界的にも景気後退が進んでいくと、
需要の冷え込みにより燃料価格は下がっていく可能性もあります。
世界全体が不安定な中、先行きは不透明ですが、その不透明な状況に
左右されない住宅にしていくことが重要になります。
新築においては高気密高断熱化と太陽光発電設備の導入がおすすめです。
どちらも導入費用は高価ですが、ランニングコストや快適性で差が出ます。
ただし、蓄電池に関しては現時点では経済メリットが見込めないためおすすめしておりません。
防災の観点では有用な設備となりますので、経済性よりも災害対策を考えられる方は
蓄電池を設置していただくとより安心であるといえます。
既存住宅であれば内窓の設置がおすすめです。
エネルギーの流出入は半分以上が開口部(窓や玄関など)からです。
エネルギーの流出入を抑えることで、冷暖房の省エネに繋がり、節電となります。
太陽光発電は既存住宅においても有効ですが、荷重や流出するエネルギーを加味すると、
その流出を抑えるための内窓の方がコストパフォーマンスに優れています。
節電はもちろん大切ですが、夏冬に過度な節電を行うと、熱中症やヒートショックの
リスクが高まりますので、無理のない範囲での節電を行いましょう。